白内障とは?原因・治療方法・手術後のケアを紹介
2024年6月13日
白内障は眼の中にある水晶体が濁ってしまう病気のことで、進行すると視力の低下やかすみ、光がまぶしくなるなどの症状がみられます。
放置すると炎症や合併症などを引き起こすリスクがあるため、症状が疑われる場合は早めに眼科で診てもらい、適切な治療を受けることが大切です。
この記事では、白内障の概要や原因、治療法、手術後のケアなどを紹介します。
白内障とは
白内障とは、眼の水晶体と呼ばれるレンズの役割を果たす組織が白く濁る病気のことです。私たちが眼で見ているものは、角膜や水晶体を通った光が網膜面で結像したものです。
正常な水晶体は透明で光をよく通しますが、水晶体が濁り始めると光が散乱します。
その結果、まぶしく見えたり、物が二重に見えたりなど、視覚にさまざまな影響が生じるというものです。
水晶体の濁り方は一人ひとり異なっていますが、水晶体の周辺部から濁り始める場合と、中心部から濁り始めるパターンが多くあります。
中心部が透明なら視力に影響が出ることは少ないですが、中心が濁り始めると症状が現れ始めます。進行すると周辺部も中心部も濁って、瞳孔部分も白や黄色に見えるようになります。
白内障は眼が濁り始めると自然に回復することはないため、症状は悪化する一方です。
そのため、少しでも白内障が疑われる場合や、眼に異変を感じる場合は、早めに眼科で診てもらう必要があります。
白内障の原因
白内障は誰でも発症する可能性がある病気です。ここでは、白内障の原因を紹介します。
主な原因は加齢
白内障は老化現象の一つであり、症例の多くが老人性(加齢性)白内障に該当します。80代以上の80%に見られる病気であり、早い人だと40代から水晶体の濁りが始まります。
老化によって白内障にかかりやすくなる理由は、加齢によって眼内に老廃物が蓄積することや、水晶体内部が酸化・糖化することなどが挙げられます。
加齢が原因の白内障は進行がゆるやかに進む場合が多く、症状に気付けないこともあります。
また、紫外線を浴びやすい環境にいると白内障の発症年齢が早まりやすいことも特徴です。これは紫外線によって水晶体に活性酸素が発生し、水晶体の細胞内に含まれているタンパク質の酸化を促すことが理由となります。
他にも、喫煙習慣や過度な飲酒習慣があると白内障の進行を促す可能性があります。
加齢以外の原因
白内障は、加齢以外にも以下のような原因で発症する場合があります。
- 若年性白内障:ストレスや糖尿病、アトピー性皮膚炎などが原因
- 併発白内障:ぶどう膜炎や網膜剥離など眼の病気が原因
- アトピー性白内障:アトピーによる免疫異常や眼を掻くことが原因
- 糖尿病性白内障:血糖値のコントロールが不安定になることが原因
- 外傷性白内障:眼に物が当たったり、ケガをしたりなどが原因
このように、老化以外にも病気や生活習慣によって白内障を発症するケースがあります。これらは後天性の白内障ですが、生まれたときから発症している先天性白内障もあります。
先天性白内障は外からの光が網膜まで届きにくく、視力の発達が遅れる可能性があるため、できるだけ早めの手術が必要です。
白内障になる過程
白内障は、進行状況から4つのフェーズに分類されます。
- 初期白内障:水晶体が濁り始めた初期の状態
- 中期白内障:水晶体の核に濁りが到達するような状態
- 成熟白内障:水晶体の全体が濁り始める状態
- 加熱白内障:水晶体自体が硬くなり始める状態
自覚症状が現れてくるのは中期白内障頃からで、視界がかすんだり、日中や明るい室内でいつも以上にまぶしく感じたりする場合は、濁りが核に到達しかけている可能性があります。
成熟白内障に達すると視界がかすんだり、日中や明るい室内でやけにまぶしく感じたりなど、見え方の異常に加えて視力の低下がみられることも多いです。
そして、加熱白内障のフェーズに到達すると、水晶体全体が濁るだけでなく、水晶体自体が硬くなります。
濁りの色も白色から茶色に変化し、失明のリスクも高くなり、手術をしても視力がもとに戻らない可能性もあるため注意が必要です。
また、白内障は悪化の一途を辿るため、できるだけ早いフェーズで進行を食い止めることも重要になります。
白内障がどのように進行していくかについて以下で解説します。
H4 タンパク質の変質
白内障は、最初に「クリスタリン」と呼ばれる透明なタンパク質が変質したり、構造が変化したりするところから始まります。
水晶体の構成成分はタンパク質33%、水分66%、その他1%です。
タンパク質は加齢やストレス、病気などによって変質し、一部は光によって分解されるため、水晶体に黄ばみが生じることもあります。
このような現象のメカニズムは、目玉焼きをイメージするとわかりやすいです。
目玉焼きを作るときに白みは最初透明ですが、熱を加えると白く濁っていきます。これはタンパク質が熱によって変質したためです。
同じように水晶体もタンパク質の変質によって白く濁り、さらに目玉焼きと同じように白くなった水晶体はもとに戻りません。
水晶体の酸化や糖化
水晶体のタンパク質に変質をもたらすのは、主に酸化ストレスです。
水晶体には抗酸化作用があるGSHと呼ばれる物質がありますが、加齢によって生じたフリーラジカルや活性酸素などの酸化ストレスによって抗酸化力が低下します。
それによって水晶体の核が酸化ストレスにさらされるようになり、タンパク質の変質につながるというものです。
また、加齢によって水晶体は糖化が生じやすくなり、それに伴いAGEと呼ばれる物質が形成されて水晶体の白濁を促します。
タンパク質の代謝
人の体にはタンパク質の分解酵素があり、通常なら古くなったタンパク質や異常なタンパク質は分解されて新しく生成されます。
代謝が活発であれば細胞は若い状態が保たれますが、加齢によって代謝機能が低下すると、白内障を含めてさまざまな老化現象が現れます。
また、代謝機能の低下に伴うタンパク質異常は、糖尿病やアルツハイマー、BSEなどの病気を引き起こすこともあります。
白内障の治療方法
白内障の治療方法は主に手術です。ここでは、白内障の治療方法を詳しく解説します。
白内障の手術
白内障の手術は、濁った水晶体を取り出して、その代わりに眼内レンズと呼ばれる人工の水晶体を入れます。
手術は以下のような流れで進みます。
- ピンポイントに麻酔をする
- 2mm弱の小さな切開を入れる
- 白内障で濁ったレンズの表面に小さな窓を作る
- 超音波で硬く濁った水晶体の濁りを吸い出す
- 大きな核を砕いて吸い取る
- 粘弾性物質という特殊な液を入れる
- 眼内レンズを挿入する
なお、当院ではほとんどの患者様が入院し、横浜院では必ず入院となります。また、深作眼科での手術時間は実質4分です。
また、白内障の手術においては眼内レンズを挿入しますが、レンズの種類には単焦点レンズと多焦点レンズの2種類があります。
単焦点レンズは近く、もしくは遠くにピントを合わせるレンズであり、焦点が集中することでもう一方が見えにくくなるデメリットがあります。
遠距離に焦点を合わせる場合は近くが見えにくいため老眼鏡が必要となり、近距離に焦点を合わせる場合は遠くが見えにくいため近視用眼鏡が必要です。
一方の多焦点レンズは、遠距離と近距離どちらにも焦点が合うように作られたレンズであり、メガネに頼らない生活を目指します。
軽度の場合も早期治療が必要
白内障は、症状が軽度でも早期治療が必要です。
その理由は、白内障は自然に回復することなく症状は進行する一方になり、早期に治療するほど症状を軽減できるためです。
また、近視や乱視がひどい場合は白内障手術によって屈折矯正ができるため、軽い症状でも手術を受けるメリットは大きいといえます。
眼科によっては症状が軽度の場合に点眼薬を使用するところもありますが、点眼薬に症状を改善したり、視力を回復させたりする効果はありません。
あくまでも症状の進行を遅らせることが目的であるため、治療するなら軽度の場合でも手術がおすすめです。
なお、症状が軽度の場合も白内障の手術内容は同じで、濁った水晶体を取り出して新しい眼内レンズを挿入します。
白内障の手術後の見え方やケアについて
白内障の手術後は、どのようなことに注意したらよいのでしょうか。ここでは、白内障の手術後の見え方やケアについて紹介します。
手術後の治療経過
手術が終わったら10分~15分は安静にし、担当のスタッフから手術後の注意事項の説明を受けます。手術当日は以下の点に注意しましょう。
- 眼を押さえない
- 洗顔や洗髪、入浴を控える
- 眼帯や保護メガネを装着する
- 化粧やスポーツを控える
- お酒を控える
手術直後には傷口は塞がるものの、眼の表面についている傷は数日ほど残ります。そのため、眼の中に細菌を入れてしまう可能性のある行為は控えましょう。
手術直後の運転は原則禁止であり、眼帯が取れるタイミングか医師の許可が下りるまでは運転を控える必要もあります。
また、手術の翌日から少しまぶしいと感じることもあります。これは散瞳点眼がまだ効いている場合や、手術前は濁っていた水晶体を通して見ていたのが、濁りがとれて大量の光が入るために起こる自覚症状です。
時間が経過するとあまり感じなくなりますが、まぶしさが続くようならサングラスをかけるとよいでしょう。
手術後の視力や見え方の回復のペースは人それぞれであり、見え方が安定するまでには1ヶ月から3ヶ月ほどかかることもあります。気になる場合は治療を受けた眼科に相談しましょう。
手術後の合併症
白内障手術は安全性の高い治療法であり、合併症が起こるリスクは比較的低いものの、まれに以下のような合併症が起こるケースもあります。
- 眼内炎
- 黄斑浮腫
- 水疱性角膜症
- 後発白内障
なお、手術後早期の合併症として細菌性眼内炎に注意が必要です。
手術直後は何の問題もなく鮮明に見えるようになっていたのに、術後3~7日頃に見えにくくなり、強い痛みやひどい充血が生じたときには細菌性眼内炎が疑われます。
放置すると失明のリスクがあるため、すぐに手術を受けた眼科で診てもらいましょう。また、手術後からしばらくして起こる合併症として後発白内障があります。
後発白内障は眼内レンズを挿入した水晶体嚢に水晶体の上皮細胞が残り、この細胞が増殖して水晶体嚢の裏側に広がることで濁りが生じるというものです。
後発白内障は視力低下などの症状が現れないケースが多く、日常生活に問題がなければ治療を受けなくても問題ありません。
視力や見え方に問題がある場合は、ヤグレーザーで改善するため、手術を受けた眼科に相談しましょう。
手術後のケア方法
白内障手術後の合併症を防ぐためには術後の点眼が重要です。
白内障手術は日帰りで行えることや翌日には体調が元に戻って早期に通常の活動に復帰できるメリットがあります。※当院では、数日は安静にするように伝えています。
しかし、手術を行うことによって眼には負担がかかって小さな傷もできているため、回復途上の眼をさらに傷つけないように細心の注意を払うことが大切です。
医師に処方された点眼薬を決められた時間に使用して指示があるまでは継続し、自己判断でやめないように注意しましょう。
就寝の際には無意識で眼をこすってしまう可能性もあるため、寝る前には眼帯の使用もおすすめです。※当院では1週間ほど全眼帯の仕様を推奨
まとめ
この記事では、白内障の原因や治療方法、手術後のケアを紹介しました。
白内障は眼の中の水晶体が濁ってしまう病気のことで、老化現象やストレス、他の病気の合併症で発症することもあります。
一度濁った水晶体はもとに戻らないため、早い段階で白内障手術を行うことをおすすめします。
白内障手術は技術で結果に大きな差が出る手術であるため、どの眼科で治療を受けるかも重要なポイントです。
深作眼科では、深作院長によって開発された新しい技術と最新の設備が整っており、無痛で完璧な結果を提供できる白内障手術を行います。
患者様に負担の少ない白内障手術を年間4,000件以上施行しており、その手術は世界最高の手術技術力を有しているアメリカ眼科学会からも最高の評価を得ています。
白内障が疑われる場合は、まずはお気軽に当院までお問い合わせください。