白内障手術後の生活で注意する点やリスクを紹介!運転や洗髪はいつからできる?
2024年6月25日
白内障を治療する唯一の方法は手術です。
白内障手術では、濁った水晶体を取り出して人工レンズを代わりに挿入することで、視力の回復を促したり、眼のかすみや二重、三重に見えたりなどの症状を改善します。
白内障手術そのものは短時間で負担も少ないですが、術後はいくつか気をつける点もあります。
この記事では、白内障手術後の生活で気を付けることや過ごし方、リスクやケア方法について詳しく紹介します。
白内障手術直後の注意点と過ごし方
白内障手術直後はいくつか気をつけたいポイントがあります。ここでは、白内障手術直後に避けることや見え方が安定するまでの期間などを紹介します。
白内障手術にかかる時間
白内障手術そのものにかかる時間は、数分〜30分程度です。
症状や手術の内容、眼科により変わりますが、深作眼科では実質4分間で白内障手術ができます。白内障手術は水晶体の濁りを吸い取り、代わりに眼内レンズを挿入する方法が一般的です。
手術を受ける前には診察、検査や点眼なども行います。当院の場合、横浜院では手術当日の8:00来院となります。
また、白内障手術をした直後は瞳が広がった状態で普段よりもまぶしく感じやすくなるため、入院が必要になるケースもあります。
ちなみに、両眼の白内障手術を行う場合は日を分けるのが基本であり、当院では最低1週間は空けます。
白内障手術直後に避けること
白内障手術直後には傷口はふさがっていますが、眼の表面に小さな傷があるため、当日は化膿や傷口を広げないために以下のことに注意しましょう。
- 眼を強く押さえない
- お酒を控える
- 洗顔、洗髪、入浴を控える
- 眼帯や保護眼鏡を装着したままにする
- スポーツを控える
眼帯や保護メガネなどは細菌感染を防ぐだけでなく、紫外線や風などの刺激から目を守る役割もあります。
また、基本的に日帰り手術の直後でも食事制限はなく、テレビやスマホなどの使用は負担のない範囲で可能です。
白内障手術後の見え方が安定するまでの期間
白内障以外に特に眼の異常がなければ、手術の翌日からは日常生活に問題のない程度に見えるようになるケースがほとんどです。
一方、白内障手術では単焦点眼内レンズや多焦点眼内レンズなどの人工レンズを挿入しますが、これらが定着して視力が安定するまでには1~2ヶ月ほど時間がかかることもあります。
多焦点眼内レンズを使用する場合は複数のピントに合わせられるため眼鏡は不要ですが、単焦点眼内レンズはピントが一つになるため、遠視用や近視用、もしくはその両方の眼鏡が必要です。
そのため、新しく眼鏡を作る場合は視力が安定するまで待つ必要があります。
白内障手術後の生活で気をつけること
白内障手術後は、感染予防や視力が安定するまでに注意する点もあります。ここでは、白内障手術後の生活で気をつけることを紹介します。
仕事・運動
白内障手術後、室内でのデスクワークであれば適度に休憩を挟めば退院後の翌日から可能です。外に出るお仕事や極端に重たいものを持つ重労働に関しては、術後1週間は控えた方がよいでしょう。
散歩や日常の家事程度なども、汗には皮膚の細菌が含まれているため、汗をかくような運動は術後1週間は控えましょう。
ゴルフや水泳など通常のスポーツはおよそ術後1ヶ月から可能ですが、水泳についてはプールの水が直接触れる可能性があるため、ゴーグルを必ず着用する必要があります。
また、屋外スポーツは砂ぼこりが眼に入ったり、打撲したりする可能性があるため、それらの競技については術後1ヶ月が目安です。
手術後の仕事や運動は、主治医に相談して復帰するタイミングを決めましょう。
洗顔・洗髪・入浴
手術後の感染を防ぐために、1週間は洗顔や洗髪、入浴は控えます。
ただし、1週間が経過してなくても主治医の許可が出たら通常通りに洗顔や洗髪をしても問題ありません。
洗髪をする際には、シャンプーが眼に入らないように注意する必要があります。
一方、浴槽につかることは1週間ほど避けた方がよく、温泉や大衆浴場の利用は2週間から1ヶ月ほど避けた方がよいでしょう。
メイク
手術後のメイクは、アイシャドウ、アイライン、マスカラなどのアイメイクは1ヶ月ほどは控えてください。
眉のメイクやそれ以外であれば術後1週間後から可能ですが、ファンデーションは眼や目元に触れないように肌に塗りましょう。
アイメイクができるようになるタイミングは術後の経過によっても変わるため、主治医に確認してください。
また、メイクを落とす際には眼に過度な負担をかけないように注意する必要もあります。
車の運転
手術後の車の運転は、通常であれば1週間程度で可能な場合がほとんどです。
手術後は眼を保護するための眼帯や保護メガネをしていることや、瞳孔が開いていることで見え方がいつもと異なるため、手術当日の車の運転は原則禁止となっています。
術後に車の運転をする際には、いきなり長距離を運転するのではなく、短い距離を走って眼を慣れさせることが大切です。
また、旅行や出張で長距離の運転が予定されている場合は、主治医に相談して手術日の調整をしてもらうとよいでしょう。
食事
食事に関しては、手術前日、当日、翌日と体調に問題なければ普段通りでかまいません。
手術後は約1時間ほどで通常の食事が可能となり、内服中の薬も主治医の指示に従っていつも通りに服薬できます。
ただし、糖尿病に起因する白内障手術の場合は、血糖値の調整などで食事指導が入るケースもあります。
飲酒
飲酒は炎症を悪化させる恐れがあるため、術後1週間ほどは控える必要があります。
なお、手術直後の飲酒の影響はどの部位の手術でも同じであり、血管を膨張させて手術創から出血しやすくなるため、基本的には控えることが望ましいです。
また、アルコールが入ると油断も生じやすく、気分が高まって無意識に眼帯やゴーグルを外して眼を触ってしまう可能性もあります。
このようなリスクもあるため、1週間ほど控えることが望ましいですが、少量であれば問題ないとしている眼科も多くあります。
白内障手術後のリスクとケア方法を紹介
白内障手術後にはさまざまなリスクがあります。ここでは、リスクとケア方法を紹介します。
細菌性眼内炎
細菌性眼内炎は、白内障手術後の合併症の中でも特に恐ろしいものです。現在の日本においては、2,000~3,000例に対して1件の割合で起こっています。
眼内炎には2種類あり、1つ目の早発性は術後3日から1週間の間に起こり、その多くは手術で生じた傷から菌が侵入して炎症を引き起こすというものです。
遅発性は術後1ヶ月から数ヶ月以内に起こり、原因となる菌によって発症時期や経過が異なります。傷口が閉じていない状態で不用意に眼を触ったり、濡らしたりすることが原因です。
水晶体の裏側には硝子体という寒天のような組織があり、細菌の繁殖を促して網膜に影響します。
細菌性眼内炎を発症すると急激な視力低下や眼痛、充血などの症状が現れるため、すぐに手術をした眼科を受診してください。
白内障手術の実績がある眼科での手術や、医師の指示に従って術後を過ごしていれば、発症する確率は極めて低いです。
後発白内障
後発白内障とは、白内障手術後に誰にでも起こる可能性がある合併症の一つです。白内障の手術後に、眼内レンズを包んでいる嚢(のう)に濁りが生じることで発症します。
白内障の手術は水晶体の濁りを取り出して眼内レンズを挿入しますが、術後しばらくすると、水晶体嚢に残っている細胞が増殖し、濁って眼内に光が入りにくくなるというものです。
後発白内障は白内障手術を受けた方の約2割が5年以内に発症するといわれており、他の合併症に比べると発症率が高いことも特徴です。
症状も白内障とほとんど同じで、視力低下や見えにくさ、眼のかすみなどが現れます。
また、病名から白内障の再発と勘違いされる方もいますが、白内障手術時に水晶体は摘出されているため、白内障が再発しているわけではありません。
後発白内障は外来治療で5分ほどの処置で改善するため、症状が気になる場合は早めに手術を受けた眼科を受診してください。治療の痛みもなく、翌日には元のクリアな視力に回復します。
嚢胞様黄斑浮腫
嚢胞様黄斑浮腫は、白内障手術後早期に網膜の中心に液状の成分がたまることで、眼のむくみを起こす疾患です。
手術後には医師から目薬を処方されたり、術後の経過について説明を受けたりしますが、これらを正しく守らなかった場合に発症することがあります。
また、糖尿病網膜症を抱えている人も起こりやすい症状です。
症状が現れるまでには個人差があるものの、術後の早い時期から2~3ヶ月後に発症する可能性が高く、痛みがないため自分で気づきにくい特徴もあります。
症状としてはぼやけて見えたり、ゆがんで見えたり、全体的に暗く見えるなどが挙げられます。真ん中がかすむ場合や、人の顔や文字がゆがんで見えるなども、嚢胞様黄斑浮腫による特徴的な症状です。
術後は医師の指示に従い点眼薬を使用し、見え方に違和感が生じた場合は早めに診てもらいましょう。
網膜剝離
白内障手術の合併症として網膜剥離があります。
網膜剥離とは、眼球内側にある網膜が剥がれて視力が低下する病気であり、視力低下や視野が狭くなるなどの症状も現れます。
白内障手術においては水晶体を眼内レンズに置き換えることで、眼内のゼリー物質である硝子体に影響を及ぼし、硝子体が収縮する過程において網膜剥離を発症すると考えられています。
また、白内障手術中に破嚢という合併症を引き起こすと、術後に網膜剥離を起こしやすいと報告されています。
白内障手術で網膜剥離を起こす症例そのものは少ないですが、発症したときに適切な処置をしてもらうためにも、網膜硝子体の手術に対応している眼科がおすすめです。
飛蚊症
白内障手術により飛蚊症の症状が強く出るケースがあります。
飛蚊症は、黒い点のようなものや虫のようなものが水面に浮いているような感じに見えたり、蚊がたくさん飛んでいたりするように見える症状です。
白内障手術で飛蚊症が起こるのは、濁った水晶体が取り除かれたことによって、これまで気づかなかった飛蚊症に気付くことが主な原因となります。
硝子体は、もともと透明なゼリーで若い頃には網膜にぴったりとくっついていますが、加齢に伴ってゼリーが水っぽく変化して、ある時期から網膜から剥がれていきます。
これを後部硝子体剥離といいますが、剥がれたところにある濁りが中で動くことで飛蚊症が起こります。
飛蚊症そのものは異常なことではなく、時間が経てば気にならなくなる場合がほとんどです。
一方、硝子体出血や網膜剥離など失明につながる重い病気が原因となっているケースも稀にあるため、急に飛蚊症が起こったときは眼科に受診しましょう。
まとめ
白内障手術は日帰り可能な手術ですが、術後は眼の負担が大きいことから、安全のために入院するケースもあります。
また、手術により眼に小さい傷がついているため、主治医の指示に従って行動しないと合併症を引き起こす可能性もあります。
退院後も眼に異常を感じたり、見え方がおかしいと感じたりする場合は合併症が疑われるため、すぐに眼科で診てもらいましょう。
また、白内障手術後のトラブルにも直ちに対応してもらえる眼科選びも大切です。
深作眼科は、院長によって開発された新しい技術と最新の設備を使用し、無痛治療を提供できる白内障手術を施行しています。
白内障手術は技術によって大きな結果の差が出る手術であるため、手術を受ける眼科をしっかり選定しなければなりません。
当院では、結果は当然ですが、無痛で患者様に負担の少ない白内障手術を行います。さらに、手術後の合併症にも迅速に対応しており、安心して手術が受けられる環境を整えています。
まずは、お気軽にお問い合わせください。