ICL(眼内コンタクトレンズ)とは?メリット・デメリットを詳しく解説!
2024年7月1日
「ICLはどんなレンズ?」「ICL手術のメリットやデメリットを知りたい」という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
ICL(眼内コンタクトレンズ)とは、近視、乱視を矯正するために開発されたレンズのことです。
ICL手術にはメリットだけでなくデメリットもあるため、自身がICLに適しているのかどうかを事前に確認する必要があります。
この記事では、ICLの特徴や安全性、手術を受けるメリット・デメリットについて解説します。
ICL(眼内コンタクトレンズ)とは
ICL(眼内コンタクトレンズ)は「Implantable Contact Lens」の略称で、近視、乱視を矯正するために開発されたレンズのことです。
1997年にヨーロッパでCEマークを取得し、2005年には米国FDAより認可を受けています。
ICLを使った治療法は、特にレーザー手術が適さない方や、より安定した長期的な視力矯正を求める方に適しています。
ここでは、ICLの仕組みや適応条件について詳しく解説します。
ICLの仕組み
ICLは、独自の素材で作られた薄いレンズを虹彩と水晶体の間に挿入することで機能します。光の屈折を調整し焦点を網膜上に正確に合わせることで、視力を矯正する仕組みです。
ICL手術は局所麻酔で行われ、一般的には15〜30分程度で完了します。
また、ICLの挿入は可逆的であり、視力の変化や他の理由で必要な場合は後から取り外したり、交換したりすることが可能です。
ICLを受ける適応条件
ICL手術は幅広い年齢層の方が受けられますが、一定の適応条件があります。ICL手術の適応年齢は、一般的に20〜40歳程度です。
眼科医院によっては、18歳以上からICL手術を受けられる場合もあります。なお、年齢以外のICL手術の主な適応条件は以下の通りです。
- 術前球面度数:−3.0D〜−18.0Dの近視
- 術前円柱度数:4.5D以下
- 屈折度数が安定している
- 妊娠、授乳中ではない
- 重篤な全身疾患や眼の病気がない
これらの適応条件は眼科医院によって異なるため、ICL手術を受けたい場合は該当する眼科医院の適応条件をご確認ください。
ICLの特徴・安全性
ICLは先進的な視力矯正方法として注目されています。ここでは、ICLの特徴や安全性について詳しく解説します。
角膜を削らないで視力を矯正する
ICL手術の特徴として、角膜を削らずに視力を矯正できる点が挙げられます。特に薄い角膜を持つ方や、レーザー手術に適さない方にとって大きなメリットです。
手術では目の内部に薄いレンズを挿入することで視力を矯正しますが、このプロセスは角膜の構造を変えることなく行われます。
その結果、回復期間が短く、手術後の不快感も最小限に抑えられます。
レーシックの場合は、レーザーで角膜を削ることにより屈折異常を矯正します。レーシックの手術は不可逆的であり、一度削った角膜を元に戻すことはできません。
目に優しいレンズを使用する
ICLに使用されるレンズは生体適合性が高く、自然な視力回復を促します。
レンズは「コラマー(コラーゲン+HEMA)」という素材でできており、体内への拒絶反応を最小限に抑えるよう設計されています。
また、材質は柔軟であるため目の中で破裂することはありません。このような特性を持つことから、ICLのレンズは長期間にわたって安全に使用することが可能です。
厚生労働省から認可を受けている
ICLは日本国内で実施した臨床試験データを元に、2010年2月に厚生労働省より有水晶体後房レンズとして承認されました。
それ以前では、1997年にヨーロッパでCEマークを取得し、2005年には米国FDAより認可を受けています。
これらの認可は、ICLが厳しい安全基準と効果を満たしていることを示しています。
また、手術の安全性や効果に関する徹底的な評価も行われているため、安心して信頼性の高い手術を受けることが可能です。
手術の適応範囲が広い
ICLは、近方視、遠方視、乱視など、幅広い視力問題を持つ方に適応可能です。
また、レーザー手術が適さない薄い角膜を持つ方や、他の手術方法で満足のいく結果が得られなかった方にも有効な選択肢として手術が行われています。
ICLは、多様な視力矯正ニーズに応える柔軟性を持っています。
認定医資格を持つ眼科医のみが可能な手術
ICL手術は、認定医資格を持つ眼科医のみが行える特別な手術です。
手術を行うには、日本眼科学会の専門医であること、そして認定医(ライセンス)制度に基づき複数のプロセスを通過する必要があります。
認定医制度は、ICLが日本国内で安全に普及していくために設けられた制度です。
厳しい研修プログラムと試験に合格した医師にのみ与えられるもので、手術の安全性と品質を保証する重要な役割を果たしています。
ICL手術を受けるメリット
ICL手術を受けることで多くのメリットが期待できます。ここでは、主なメリットについて詳しく解説します。
メガネやコンタクトレンズに依存しない生活が送れる
ICL手術のメリットとして、メガネやコンタクトレンズへの依存から解放されることが挙げられます。
ICL手術では、生体適合性が高いレンズを半永久的に眼内に入れておくため、手術後は視力矯正器具が不要です。
日常生活でメガネを探したり、コンタクトレンズのケアに時間を費やしたりする必要がなくなる点は大きなメリットといえます。
クリアな視界が手に入る
ICL手術によりクリアな視界が手に入ります。手術で挿入されるレンズは眼内に直接配置されるため、光の屈折を自然な状態で最適化します。
レーザー手術と比較しても、ICLはより広範囲の視力問題を矯正できることが多く、特に重度の近視、強い乱視を持つ方にも向いています。
安全性が高くて痛みが少ない
ICL手術は、高い安全性と手術時の痛みが少ないことで知られています。手術時には局所麻酔を用いるため、不快感をほとんど感じることなく手術を受けられます。
また、ICLを挿入する際の切開は非常に小さく、視力回復も迅速です。手術に関する合併症や副作用のリスクも低いため、多くの方が安心して手術を受けられます。
長期的な視力回復に期待できる
ICL手術によって挿入されたレンズは、眼内に恒久的に留まるため、手術後10年近くにわたって安定した視力を維持できます。
これは、ICLのレンズが角膜形状変化を起こさないからであり、これらの要素が長期間の視力維持を可能にしています。
レーシックの場合は、近視の戻りが一定の確率で発生するため注意が必要です。手術後、年数の経過と共に近視の状態が元に戻り、遠くの物を見るときに不便を感じる可能性があります。
万が一の場合は元の状態に戻せる
ICL手術では、必要に応じてレンズを取り外し、目を元の状態に戻すことが可能です。
可逆性は他の視力矯正手術にはない特徴であり、将来的な視力の変化や新たな治療法の登場に柔軟に対応できる安心感を得られます。
万が一、手術後に予期しない副作用や合併症を経験した場合でも、この特徴により迅速な対応が可能です。
ICL手術を受けるデメリット
ICL手術は多くの方にとって視力矯正の有効な選択肢ですが、手術前に考慮すべきデメリットもあります。ここでは、代表的なデメリットを紹介します。
手術を受けるまでに時間がかかる
一般的にICL手術を受けるまでには時間がかかります。事前の検査情報を基に適したレンズを発注し、届くまでに2ヶ月ほどの期間を要するためです。
海外にしかレンズの在庫がない場合は、2〜4ヶ月程度の時間がかかります。
また、目の健康状態を詳細に確認するための診察が複数回必要であり、これにも数週間から数ヶ月程度の時間がかかる場合があります。
手術費用が高額になることがある
ICL手術は保険適用外であるため、手術費用が高額になることがあります。自由診療であり、レンズ代や検診料は基本的に全て自己負担となります。
手術費用は眼科医院によって異なりますが、一般的に片眼で400,000円前後です。
※当院は380,000円 or 400,000円
手術は高度な技術を要し、専門的な機器や材料を使用するため、他の視力矯正手術に比べてコストが高くなる傾向にあります。
感染症や合併症のリスクがある
感染症や合併症などのリスクは、完全にゼロにすることはできません。どの手術にも言えることですが、手術を受ける際にはリスクを考慮する必要があります。
ICLによる主な副作用やリスクは以下の通りです。
- ハロー・グレア
- 感染症
- 白内障
- 眼球内出血
- 眼圧の上昇
手術後にこれらの合併症が発生する可能性があり、視力に悪影響を及ぼす場合があります。
発生するリスクは低いものの、手術前に合併症について理解し、主治医と十分に相談することが大切です。
ICL手術が向いている人・向いていない人の特徴
ICL手術は特定の視力問題を持つ方に対して、メガネやコンタクトレンズからの解放とクリアな視界を実現する選択肢です。しかし、この手術は全ての方に適しているわけではありません。
ここでは、ICL手術が向いている人・向いていない人の特徴を解説します。
ICL手術が向いている人の特徴
ICL手術が向いているのは、重度の近視または乱視を持つ方です。
また、レーザー手術に適さない薄い角膜を持つ方や、メガネやコンタクトレンズに対する不快感やアレルギーがある方にも適しています。
20歳から40歳くらいまでの健康的な成人で、視力が安定している方も理想的な候補者といえるでしょう。
これらの特徴に該当する方は、ICL手術によって長期的な視力回復を実現できる可能性が高いと考えられます。
▼ICL手術が向いている人の特徴
- 重度の近視、または乱視を持っている
- レーザー手術に適さない薄い角膜を持つ
- メガネやコンタクトレンズに対する不快感やアレルギーがある
- 20歳から40歳くらいまでの健康的な成人で、視力が安定している
- 長期的な視力回復を求めている
ICL手術が向かない人の特徴
ICL手術が適さないと考えられる方は、眼内に十分なスペースがない、あるいは重大な目の健康問題を持つ方です。
ほかにも、すでに老眼が始まっている方、妊娠中の方や授乳中の方も手術の適応外となることがあります。
また、手術に対してデメリットのほうが大きいと感じる方も、ICL手術は向かない可能性があるため、他の視力矯正方法も併せて検討することが大切です。
▼ICL手術が向いていない人の特徴
- 眼内に十分なスペースがない
- 重大な眼の健康問題を持つ
- 妊娠中や授乳中の方
- すでに老眼が始まっている
- 手術に対してデメリットが大きいと感じる
まとめ
ICLの特徴や安全性、手術を受けるメリット・デメリットについて解説しました。
ICLは薄いレンズを角膜と自然な水晶体の間に挿入し、焦点を網膜上に正確に合わせることで視力を矯正する仕組みです。
安全性は高いと評価されていますが、合併症のリスクは決してゼロではありません。ICL手術を考えている方は、一度主治医に相談して不安要素を解消することをおすすめします。