ICLで乱視治療はできる?治療内容やリスクを理解しよう
2025年3月31日

「ICLで乱視は治療できる?」
「通常のICLと異なる点は?」
ICLを受けたいが、乱視のため治療を受けられるか心配に思っている方も多いのではないでしょうか。
乱視の方は、通常のICL用レンズではなく、乱視の方用のレンズを挿入する必要があります。
この記事では、乱視の方がICLを受けられるのか、どんなリスクや注意点があるのかについて詳しく説明します。
乱視の方用のICL治療について知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
そもそも乱視とは

乱視とは、物を見るときに物との距離にかかわらず、ピントが合わない状態です。ものがぶれて見えたり、ぼけたりして見えづらくなります。
乱視には、正乱視と不正乱視の2種類があります。
ここでは、2つの乱視について特徴を紹介します。
正乱視
正乱視とは、角膜や水晶体の形状が均等にゆがんでいるため、光が一定の方向にのみ屈折する乱視の種類です。
正乱視では角膜の形がラグビーボールのように楕円形に近くなっており、水平方向または垂直方向にのみ強い屈折が生じます。
その結果、物体の像が焦点を結ばずに対照的に歪みを起こしますが、歪みの方向が一定のため、メガネなどで比較的簡単に矯正ができる点が特徴です。
正乱視用のレンズを使えば、見え方を矯正できます。
不正乱視
不正乱視とは、角膜や水晶体の形が不規則にゆがんでいるため、光がさまざまな方向に散乱してしまうタイプの乱視です。
角膜の形状がラグビーボールのように均等にゆがんでいる正乱視とは異なり、不正乱視では角膜や水晶体が局所的に変形しているため、光の屈折が同じ方向ではありません。
そのため、像がぼやけたり歪んで見えたりします。
不正乱視の原因は、円錐角膜や、傷によって角膜が損傷することによって起こるケースが多いです。角膜の一部が突出したり、傷跡が残ったりすることで、不規則な形状になりやすくなります。
不正乱視の場合、メガネやコンタクトレンズでは視力の矯正が難しく、ハードコンタクトレンズやオーダーメイドの特殊レンズを必要とする場合があります。
不正乱視は矯正が難しいため、検査を受けて専門的な治療や矯正手段を取る必要があるでしょう。
乱視の方向けのICL治療とは

乱視の方向けのICL治療は、トーリックICLと呼ばれる特殊なレンズを使用します。ICL治療とは、目の中にレンズを入れる手術です。
トーリックICLは通常のICLとは異なり、レンズに乱視を矯正するための特殊な度数が組み込まれています。これにより、近視だけでなく、乱視の矯正も同時に可能となります。
乱視の場合は、レンズの方向が少しでもずれると視力が安定しません。そのためトーリックICLは乱視の度数や角度に合わせて挿入され、回転しないようにしっかりと固定されます。
また、通常のICLと同じく角膜を削ることなく矯正できるため、角膜が薄い方、レーシックに不向きな乱視と診断された方にも適した治療です。
近視治療と異なる点は?

乱視の方のICL手術は、術前に正確な乱視度数を測ることが非常に重要なポイントです。
通常のICL手術よりも術前検査の回数や、事前準備にかける時間が多くなる傾向があります。近視治療と異なる主な点は以下の2つです。
- 手術前のコンタクトレンズの装用時間を厳守する
- 2回以上の術前検査を実施する
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
手術前のコンタクトレンズの装用時間を厳守する
乱視用のICL手術を受ける前には、コンタクトレンズの装用時間を厳守する必要があります。
乱視の方がICL手術を受ける場合、術前検査で正しく乱視度数を測定することが大切です。
手術の直前までコンタクトレンズを装用していると度数に乱れが生じるため、一定期間コンタクトレンズの装用を控える必要があります。
ソフトコンタクトレンズであれば乱視用であるなしに限らず術前検査2週間前から装用を控えましょう。
ハードコンタクトレンズを使用している方は、術前検査の1か月前から装用を控える必要があります。
この期間はあくまで目安のため、眼科の指示に従うようにしてください。
2回以上の術前検査を実施する
乱視の方がICL手術を受ける場合、手術前に最低2回以上検査を受ける必要があります。
乱視は、その日の体調や外的要因によって乱視度数が不安定になりやすい傾向があるため、複数回検査を行い、正しい乱視度数を測る必要があるのです。
コンタクトレンズの装用を控えたり検査のために眼科に通ったり、通常のICL手術よりも事前準備に時間がかかる点に注意しましょう。
ICL治療のリスク

ICL治療は比較的安全で効果的な視力矯正方法とされていますが、手術であるため、いくつかのリスクも伴います。
また、一般的なICLと乱視用のICLではリスクも異なるため、それぞれのケースについて見ていきましょう。
一般的なICL治療のリスク
ICL治療のリスクとして挙げられるのが、合併症です。白内障や眼内感染症、緑内障のリスクが例として挙げられます。
ICL治療は目の中にある虹彩と水晶体の間にレンズを挿入するため、稀ではありますが水晶体にダメージを与えてしまい、白内障が発症することがあります。
また、手術の際に感染症が起こると眼内感染症が起こる可能性があるでしょう。これを防ぐためには、消毒や術後のケアが重要です。
さらに、ICLレンズを挿入することによって目の中での眼圧に影響を与え、眼圧が上昇することによって緑内障を引き起こす可能性があります。
緑内障は視野の欠損や視力低下、最悪の場合失明のリスクもあるため、早期発見と治療が必要です。
合併症の他には、夜間視力の低下やレンズの位置がずれることがリスクとして挙げられます。
一部の方は夜間の視力が低下したり、光がにじんで見えたりするハロー・グレア現象が起こることがあります。そのため、夜間に運転する方は医師に相談が必要です。
稀ではありますが、レンズがずれると視力が安定しなかったり、視界がぼやけてしまったりする可能性があります。この場合は、レンズの再調整手術が必要です。
ICL治療は比較的安全性の高い手術ではありますが、これらのリスクが起こりうることを理解して治療を検討する必要があります。
乱視用ICL治療のリスク
乱視用ICL治療も、通常のICL治療と同様に、白内障や緑内障のリスクがあります。
さらに、乱視用ICL治療特有のリスクとして挙げられるのは、レンズの回転や位置のずれです。
乱視用ICL治療は乱視矯正のために、特定の方向に合わせて設置する必要があります。
しかし、挿入したレンズが回転して位置がずれてしまうと、視力が安定せず、乱視矯正の効果が不十分になる可能性があるのです。
レンズの位置がずれた場合は、再度手術でレンズを正しい位置に戻る手術が必要になるケースがあります。
ICL手術後の注意点

ICL手術後は、以下の点に注意する必要があります。
- 術後の注意をよく守る
- 定期的に検診を受ける
- 異常があった場合はすぐ相談する
ICLは、術後に目に傷が残るため、しばらくは医師の注意を守って過ごすことが必要です。
術後の注意をよく守る
ICL手術後は、眼科から言われた注意事項をよく守って行動しましょう。
ICLの手術後は、手術によってできた傷が塞がっていない状況です。傷口から菌が入って感染症を引き起こす可能性があるため、傷を清潔に保つ必要があります。
洗顔と洗髪は術後数日間は避け、目周りのメイクも1週間程度避けましょう。
手術前の生活に戻るまでには、約1ヶ月かかります。できるだけ目元に刺激を与えないように安静に過ごしましょう。
定期的に検診を受ける
ICL手術後は定期的に検診を受けましょう。術後の経過を確認することで傷の治りや合併症の恐れがないかをチェックします。
検診のタイミングは、術後翌日、1週間後、1ヶ月後など、数回にわたります。傷の回復が見られない場合や、視力の回復度合いが悪い場合は、さらに通院回数が増える可能性もあります。
術後しばらく時間が経過しても、年齢を重ねると白内障や緑内障のリスクも高まりますので、定期的に検診を受けるようにしてください。
異常があった場合はすぐ相談する
目に異常があらわれた場合はすぐに医師に相談しましょう。
乱視用レンズは、術後にズレたり回転したりすると乱視の改善効果が得られにくくなります。見えにくさを感じたときはすぐに眼科に相談してください。
また、術後に合併症や副作用が起こるリスクはゼロではありません。見え方に異常がある場合は、すぐに眼科を受診するようにしてください。
乱視の方がICL手術を受ける際の費用

ICL治療は、約40万円〜が費用相場です。
手術代とレンズ代の費用がかかるため、費用は比較的高額になります。また、乱視用レンズは、通常のICLレンズよりも高額になる傾向があります。
手術費用は自由診療のため、全額自己負担です。クリニックによっては分割払いや医療ローンを利用できます。
乱視用ICL治療は費用が高額ですが、安定した視力矯正が期待できる治療です。
コンタクトレンズを購入し続けるよりも安くなるケースもあります。
乱視用ICL手術についてのよくある質問

最後に乱視用ICL手術についてのよくある質問を紹介します。
ICL治療後乱視が残る可能性は?
ICL治療後に乱視が残る可能性はあります。
これには、術前検診での評価に誤りがあった場合や、レンズにズレがあった場合に起こります。
ICLレンズの度数や乱視矯正の強度は術前検査に基づき設定されますが、術前検査の結果を誤った場合は乱視が残ることがあります。
また、挿入したレンズが回転したりずれたりしたりすると乱視が残る可能性があります。見え方に異常があった場合には再手術で位置矯正が必要になります。
乱視用ICLがずれる・回転する確率や対処法は?
乱視用ICLがずれたり回転したりする可能性は、0.2〜0.5%程度です。非常に稀な症状のため、心配しすぎることはないでしょう。
術後にレンズのズレが起こった場合、回転が軽度で視力に影響していない場合は、経過観察を行います。
大きく回転して見え方に影響が出ている場合には再手術を行う必要があるケースもあります。
ICL手術は保険適用になる?
ICL手術は自由診療になるため、全額自費です。
ICL手術は比較的高額治療になるため、眼科によっては分割払いや医療ローンが適用になることがあります。
また、医療費控除制度を利用することで、一定の条件下で支払った医療費の一部が所得税から控除されることがあります。
まとめ
乱視の方は、トーリックICLと呼ばれる特殊なレンズを選ぶことでICL手術を受けられます。乱視用ICLは、レンズが少しでもずれてしまうと効果を得られない場合があるため、術前検査でしっかりと目の状態を確認することが必要です。
通常のICLよりも、術前検査の回数やコンタクトを装用できない期間が多くなるため、注意しましょう。
深作眼科では、整った設備と最先端技術でICLを行っています。
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