多焦点眼内レンズは緑内障の人でも入れられる?白内障と併発したケースも紹介
2025年3月28日

「多焦点眼内レンズの手術は緑内障の人でも受けられる?」
「緑内障が白内障と違う点は?」
緑内障を患っている方の中には、白内障手術を受けられるのか、多焦点眼内レンズは適用になるのか、知りたいと思っている方もいるでしょう。
この記事では、緑内障の方の多焦点眼内レンズの適応の有無や、白内障との違い、緑内障と白内障の予防法について詳しく紹介します。
緑内障の場合は多焦点眼内レンズは適さないことがある

緑内障や他の目の病気を患っている場合は、多焦点眼内レンズを挿入しても見え方の改善が見られない可能性があります。
多焦点眼内レンズは、遠方と近方など、複数の箇所にピントを合わせられるレンズです。
しかし、目に入ってきた光を遠方と近方に振り分けて見ることになるため、裸眼の状態よりも少ない光の量で物を見ることになります。
目が健康な場合はそれによって不自由を感じることは少ないですが、重度の緑内障などの病気で目の力が大幅に弱っている場合や、大幅に視野欠損している場合、光の量が少ないと物が見えにくくなることがあるのです。
ただし、非常に軽度の緑内障の場合は、多焦点眼内レンズを挿入しても見えやすくなる可能性が高いため、多焦点眼内レンズが適応になる場合もあります。
緑内障を患っている方が多焦点眼内レンズの挿入を希望する場合は、医師と相談しましょう。
白内障と緑内障の違い

白内障と緑内障は、全く違う病気です。
白内障は、目の中にある水晶体が何らかの原因によって白く濁ることにより、物が二重に見えたり、光をまぶしく感じたりとする症状があらわれる病気です。
一方緑内障は、眼圧が上昇することによって視神経がダメージを受けることで、視野が狭くなったり視界の一部が欠けたりする病気です。
どちらも加齢によって発症しやすくなります。
白内障は人工のレンズを挿入することで見え方の改善が期待できますが、緑内障は眼圧を下げて症状の進行を抑えることが治療の目的で、既に失われた視野は改善はできません。
また、緑内障は放置することで失明のリスクもあります。症状に気がついた場合は、早めの治療が必要です。
白内障と緑内障の関係

白内障と緑内障は、関係の深い病気です。
白内障と緑内障の発症原因の1つとして、加齢が挙げられます。両者とも加齢とともに発症リスクが上がるため、同時に発症することも少なくありません。
また、白内障を患った場合、緑内障を併発することがあります。白内障は水晶体が濁る病気ですが、水晶体が膨らんでしまうこともあります。
水晶体が膨らむと眼圧が上昇し、緑内障を併発する可能性があるのです。医師の診断によって緑内障の併発が不安視される場合は、白内障の手術を勧められることもあるでしょう。
白内障の治療方法

白内障を発症した場合、手術で治療します。
水晶体の濁りは点眼薬で改善することはできないため、手術で人工のレンズを挿入しましょう。
白内障の治療方法について詳しく説明します。
点眼薬
白内障の初期段階では、点眼薬での処方を行う場合があります。白内障によって一度濁ってしまった水晶体は、点眼薬で元に戻すことはできません。
点眼薬は、あくまで症状の進行を抑えるための治療です。
点眼薬を使用しても、白内障の進行を完全に抑えることはできません。水晶体の濁りが進行して日常生活に支障がある場合は、手術を検討する必要があります。
また、点眼薬は市販されていないため、眼科を受診して処方してもらいましょう。
手術
白内障の症状が進行して日常生活に支障をきたしている場合には、手術を行います。
一度濁った水晶体は元に戻ることはないため、手術で取り除き、新しく人工レンズを挿入する必要があるのです。
手術で挿入するレンズは、大きく分けて単焦点眼内レンズと、多焦点眼内レンズがあります。単焦点眼内レンズは、遠方と近方のどちらかに焦点を合わせるレンズです。
一方、多焦点眼内レンズは、遠方と近方の両方など、複数の箇所にピントを合わせられます。ライフスタイルに合わせて自分に適したレンズを選ぶと良いでしょう。
緑内障の治療方法

緑内障は早期発見し、症状の進行を抑える治療を行います。
ここでは、緑内障の治療法について詳しく見ていきましょう。
点眼薬
緑内障の進行を抑えるために、複数の点眼薬を使用します。主に眼圧を抑える作用があるものや、房水が作られるのを抑える薬などがあります。
点眼薬を複数組み合わせて治療を行っても改善が見られない場合は、レーザーや手術などの治療法を検討しましょう。
観血手術
観血手術は、点眼治療やレーザー治療で効果が得られなかった場合に行う手術です。
房水の通りを良くする手術と、房水を球結膜下に逃がす濾過手術、房水の発生を抑制させる手術があります。
目の状態に合わせて適切な手術を選択する必要があります。
白内障と緑内障が併発した場合の治療法

- 眼圧が下がり緑内障の進行がストップする
- 水晶体の濁りがなくなり検査がしやすい
- 緑内障治療のための点眼薬を減らせる
白内障手術を行うことで膨らんだ水晶体を摘出できるため、眼圧が下がり、緑内障の進行がストップする可能性があります。また、水晶体の濁りがなくなるため、緑内障の視野検査などがしやすくなる点もメリットです。
緑内障の治療には複数の点眼薬を使用しますが、白内障の症状が緩和することにより必要な点眼薬が少なくなることもあります。
白内障と緑内障を併発した場合には、まずは白内障の手術を受けるのも1つの手段です。ここでは、緑内障のタイプ別の治療法を紹介します。
開放隅角緑内障
開放隅角緑内障とは、眼球内の房水の流れが悪くなり、眼圧が上昇するタイプの緑内障です。緑内障患者の多くがこのタイプに当てはまります。
閉塞隅角緑内障
閉塞隅角緑内障は、隅角が狭くなったり閉塞したりして房水が流出しづらくなり、眼圧が上昇するタイプの緑内障です。
白内障と緑内障の症状によっては、どちらかを優先して治療したほうが良いことがあります。症状の進行度合いや病気の種類によって、治療の進め方を決める必要があるため、医師とよく相談しましょう。
白内障の予防法

白内障を絶対に発症させない方法はありません。
しかしながら、日々の過ごし方を気をつけることで、発症や進行を遅らせる可能性があります。
白内障の主な予防法は、以下の4つです。
- 喫煙習慣を見直す
- 紫外線対策する
- 抗酸化作用のある食べ物を食べる
- 生活習慣を見直す
それぞれのポイントについて下記で詳しく説明します。
喫煙習慣を見直す
喫煙習慣がある方は、できるだけ禁煙しましょう。
喫煙はタバコに含まれるニコチンが毛細血管を収縮させるため、血流が悪くなります。また、タバコの煙はビタミンCを破壊することもわかっています。
ビタミンCには抗酸化作用があり、白内障の進行を遅らせる効果が期待されますが、喫煙によって妨げられてしまいます。
タバコは、白内障以外にも健康を阻害することがわかっているため、禁煙を心がけると良いでしょう。
紫外線対策する
白内障の原因の1つに紫外線が挙げられます。
紫外線を浴び続けると水晶体がダメージによって酸化し、濁りやすくなります。水晶体の酸化を防止するためには、紫外線対策が効果的です。
サングラスや日傘、つばの広い帽子を被るなど、外出する際には必ず紫外線対策をしましょう。
抗酸化作用のある食べ物を食べる
水晶体の濁りを防止するためには、抗酸化作用のある食べ物を食べることが大切です。
抗酸化作用のある物質には、主に下記の3つが挙げられます。
- ビタミンC
- βカロチン
- ゼアキサンチン
ビタミンCにはレモン・いちごなどの果物、ブロッコリーや緑茶などが挙げられます。βカロチンは、ほうれん草やにんじん、かぼちゃなどの野菜を食べると良いでしょう。
ゼアキサンチンには、オレンジジュースやとうもろこし、ほうれん草などの緑黄色野菜がおすすめです。
栄養バランスを考え、野菜や果物をバランス良く食べるようにしましょう。
生活習慣を見直す
白内障は、糖尿病患者の方が併発しやすい病気です。
そのため、糖尿病にならないような健康的な生活を送ることが白内障予防に繋がります。
まず、バランスの良い食生活を心がけましょう。脂質や糖質の多い食事を続けると糖尿病のリスクが高まります。また、食事を抜くことも血糖値を上下させやすく、血管に負担がかかるため注意しましょう。
適度な運動も効果的です。運動すると血流が良くなり、白内障の予防や糖尿病の予防に効果的だと言われています。
外で運動する場合は、紫外線を避けるためにサングラスや日傘、つばの広い防止などで紫外線対策も忘れず行いましょう。
緑内障の予防法

緑内障の発症を予防する方法はわかっていません。
一番の予防法は、定期検診を受けて緑内障の傾向にいち早く気がつくことです。
緑内障は発症すると治療で改善することができず、症状を遅らせることしかできません。
特に自覚症状がない場合でも1年に1回程度は検診を受けて、目の状態をチェックしましょう。
また、緑内障に限らず、栄養バランスのとれた食事、質の良い睡眠、適度な運動を続けることはあらゆる病気の予防に繋がります。
健康的な生活を送り、緑内障を予防しましょう。
白内障と緑内障に関するよくある質問

最後に、白内障と緑内障に関するよくある質問に回答します。
白内障と緑内障はどちらが怖い?
白内障と緑内障では、緑内障の方が怖い病気と言えます。白内障は手術によって視力の改善が期待できますが、緑内障は一度発症すると症状の改善ができません。
また、放置すると失明のリスクもあります。
緑内障発症後は症状の進行を抑える治療しかできないため、定期的に検診を受けて、緑内障の兆候を見逃さないようにしましょう。
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの違いは?
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの違いは、ピントが合う部分が1箇所か数箇所かという点です。
単焦点眼内レンズは遠方か近方のどちらかにしかピントを合わせられませんが、多焦点眼内レンズは、遠方から近方まで、複数の箇所にピントを合わせられます。
また、多焦点眼内レンズは自由診療のため、単焦点眼内レンズよりも費用が高くなる傾向があります。
ご自身のライフスタイルや予算に応じてレンズを選びましょう。
手術で入れたレンズの交換は必要?
白内障手術で挿入したレンズは、基本的に交換の必要はありません。
正式な許可を受けたレンズは耐久試験をクリアしているため、半永久的に使用できます。
ただし、挿入したレンズが目にあわなかった場合やレンズの位置がずれてしまった場合には、再手術を行うことが可能です。
再手術は稀なケースで、一度レンズを入れたら再手術は必要ありません。生涯に渡って使い続けることができます。
まとめ
重度の緑内障を患っている方は、多焦点眼内レンズが適応しない可能性があります。
網膜などに重篤な眼疾患があり、目の力が弱っている場合、多焦点眼内レンズを入れても思うような効果を得られない可能性があるためです。
白内障と緑内障は、ともに加齢を原因として発症しやすい病気です。自覚症状が少ないことが多いため、定期的に検診を受けて目の状態をチェックする必要があります。
深作眼科では、整った設備のもと、院長によって開発された新しい技術で精度の高い白内障、緑内障治療を行っています。
患者様に負担の少ない白内障手術を行い、手術後の合併症にも迅速に対応するなど、安心して手術が受けられる環境を整えています。
また、緑内障治療に関しても、最先端の治療を行っていますので、同時治療を希望している方もぜひお気軽にご連絡ください。